椅子の修理 ~ ウィンザータイプ ダイニング ~
皆さんこんにちは。
約4ヶ月ぶり、久々のブログ更新です。 気がつけば春も終わりかけ、初夏の陽気です。
ホームページを開設してから、家具修理のお問い合わせが増えてきました。
永年愛用してきた家具を、修理しながら使い続ける。 求めている方がいっぱいいるんだなと実感します。
今年に入って行った修理を、順次こちらのブログで紹介していきますね。
今回は第1回目、ウィンザータイプ ダイニングチェア の修理です。
ホームページをご覧になられたお客様より、ダイニングチェアーの修理依頼がありました。
パッと見は、それほど傷んでは無さそう。。 あっ、背のスポークが1本無いですね。
塗膜の剥がれも見られます。
そして、重大なダメージ、 板座が割れてます。。
板の接ぎ口がパックリ。 これでは椅子の機能を果たしません。
先ずは、板座の接ぎ口を修理するため、脚部を外します。
本来は背の湾曲したフレームも、分解するのですが、しっかり固定されており、
今後も心配無しと判断し、今回は分解しませんでした。
接ぎ口の接着不良で、永年の使用により弱い部分に負担が掛かり破断しています。
当工房では、板座の接ぎ口に ビスケット と言われるヤトイを挿入しています。
広葉樹の圧縮材で、接着剤の水分で膨らみ、強靭に固定されます。
次に、背スポークの再生です。
外れた部品を紛失してしまったとのことでしたので、この椅子と同じ ブナ材 にて再生します。
この角棒から削り出します。
大まかに機械で加工して、こんな自作の 豆カンナ で削っていきます。
サンドペーパーで表面を整え、本体に装着。 上手くいきました ♪
板座の接着も乾いたので、接ぎ口の細かな チリ(段差)をエアーサンダーで整えます。
これで 木地部分の修理は完了です。
後は塗装仕上げです。 新品家具ならば全体を同色に塗装すればすむのですが、
再生修理は、修理箇所を長年使用した元の色に合わせる必要があります。
何色ものネタ色を調合して、色を出します。
画像では、赤、あとちょっと黒が足りないですね~。
吹き付けです。 エア圧力を最小まで落とし、息をそっと優しく フ~~ っと吹くように。
周りの色に馴染むように、ボカシていきます。
そして、脚部を取り付け、修理完了です。
「 修理箇所が分からない様に修理する。」
昔、親方から教わった言葉です。
この椅子も、また家族と共に歴史を刻んで行くことでしょう。