展示会 出品へ ~ 第43回 東海伝統工芸展 ~
だいぶ春めいてきましたね。
今日は風が強く、花粉症の僕にはとても辛い季節でもあります。
ある日、日頃お世話になっている椅子研究会の会長さんから、
「材料を提供するので、東海伝統工芸展にチャレンジしてみないか?」
とお誘いを受けました。
木工クラフトの展示会やコンペなどには出品経験はあるのですが、
伝統工芸展の世界は未経験で、もう時間も無い。。。
僕に務まるのか?? しかし、これはとても良い経験になるはずだ。
提供された材は、「一位 いちい」 と言う材です。
名前の通り、最高級。大変希少価値があり、木工を始めて15年以上経ちますが
初めて手にしました。
確認のため軽くカンナをかけたら、とても刃当たりが良く、きめの細かい美しい木肌が現れると共に、
背筋に緊張が走りました。
今回は、この「一位」で 短冊箱を作る事にしました。
材料はこの1枚しかなく、この時点で期日は10日を切っています。絶対に失敗は出来ません。。。
形状確認と練習の為、ヒノキで試作品を作ります。
削ってみると、真っ白な 「白太 しらた」 が表れました。
白太は樹の若い部分で、多少なりとも養分が残っていて腐りやすく、普段は捨ててしまう所なのですが、赤身と白のコントラストがとても美しく、これを活かした作品にしようと考えました。
しかし、外周の白太の幅を揃える事にこだわってしまい、後に肝心な赤身部分の木目が揃わない事に気が付き、悩まされました。
そこで、境目に 「黒檀 こくたん」 を埋め込み見きりを付けデザイン的にもアクセントになるだろうと考えました。
蓋の内側は、なだらかな円弧を描きます。
完成が少し見えてきました。
この時点で、提出期日3日を切っています。 気持ちが焦ります。。。
完成。 白太を雲に見立て、雲の上を浮遊するイメージを込めて、
一位短冊箱 「 昇雲 しょううん」 と名づけました。
翌朝、提出、1次審査会場の名古屋に向かいました。
翌々日、審査結果発表と、審査員の先生方の講評会のため、また名古屋に向かいました。
1次審査を通過しなければ、展示会に出品が出来ないのです。。。
3021 ・・・
・・・
あった!
審査員の先生方は、1点1点丁寧に講評して下さいました。
「君、なぜ白太を入れた?」
美しいと思ったからです。
「それは駄目だよ。」
「この黒檀、 君、誤魔化したね。」
・・・・・。
全て見破られてしまいました。。。
伝統工芸展。 気持ちが焦りバタバタでしたが、
とても良い経験となりました。
展示会は、5月10日(木)~ 5月15日(火)
名古屋 丸栄百貨店 8階 催事場にて。